自己言及(3)

さて、こうして書いていて、心もとないのが「文体」です。 きっと自分の文章のセンスに自信が持てるのは、20代半ばまでです。もうあれです。若者のセンスとかそういうのは分かりません。カラオケでも新譜のページは飛ばして見ます。別にいいじゃん?と開き…

自己言及(2)

さて、こうして言葉の限界のようなところに意識を向けつつ文章を書き、一方的にエネルギーを吐き出していると、消耗もするのですが、不思議なことに、別のところから情報が入ってきたりします。これは一種のシンクロニシティのようなものでしょうか。水泳で…

自己言及(1)

さて、そろそろ書きたいことも一巡してきたので(え、もう?)、書いていて感じたことをいくつか並べてみることにします。 まずは、仕事をする情熱が失われます。これは、以前大量の文章をアップしていた時にも感じたことですが。 私はどうやら仕事を「自己…

書くということ

1つのコップがある。中には泥水が入っている。 この水をきれいにしたいと思う。 一番良いのは、放っておくことだ。 泥は沈殿し、上澄みは透き通る。 しかし、水と泥とがきれいに分離してくると、泥だけがきれいに取り除けるのではないかと思ってしまう。 そ…

「イワン・イリッチの死」(トルストイ)

分かりやすく、感動的。 1884年の作品が「分かりやすい」ということがすでにすごいことだ。主人公の裁判官の生涯には、普通に共感(もしくは理解)できる。 彼の生涯は、普通に地位や名誉を求めるもので、向上心にも溢れている、悪くないものだ。という…

「海辺のカフカ(下)」(村上春樹)

再読する。 やはり、村上春樹の最高傑作であると思う。 世界を突き動かす大きなもの―「運命」のようなもの―と、その道具としての人。 完全に受け入れ、受動的になることで、「運命」は向こうから訪れる。そして、本当に意味のある「役割」は、そのようにして…

「NO1 モータウン」

とてもポップで明るい。 ダイアナ・ロス&シュープリームスとジャクソン5が、特に際立っている。 ダイアナ・ロスのハスキーかつキュートな歌声は、もう反則だ。 マイケル少年の伸びやかな歌声もまた、輝いている。才能が溢れだしている。 どうしても考えて…

「ヘルタースケルター」(岡崎京子)

この作品を書いた後、岡崎氏は交通事故にあった。その後、リハビリを続けておられるようだが、もう作品は書かないのではないかと思う。これが「遺作」になるのではないかと思う。 これが書かれたのは1996年だった。 加速するイメージと欲望。快楽の追求…

「ピンポン」

昨日書いた「スパイダーマン2」の感想つながりで。 「I can fly!」と窪塚は実際に飛んだけれど、飛ぶ前に観ていた。 もう、とにかく泣けた。爽快感と、カタルシスで。映画として、素晴らしい。ベストに近い。 原作も、というか原作こそ最高だと思っていたの…

「スパイダーマン2」

アクションと恋愛、エンターテイメントと深さのバランスが取れていて良い。 楽しめて、かつ泣ける。 主人公は、自分の生活を犠牲にし、彼女には理解されず、マスコミからも叩かれる。だから、葛藤がある。しかし、結局は自分の信じる正義のために生きること…

「SMiLE ミレニアム・エディション」(ビーチボーイズ)

海賊版である。「全世界限定1000枚発売」などと、ありがたいんだか人気がないんだかよく分からない文句がジャケットに印刷されている。そして、中には確かに「958」とプリントされた紙が入っている。 うーん、残念だが、ちっともありがたみがない。 …

飛行機で考えた

たまに飛行機に乗ると、人類もついにこんな視点を得ることができたか、なんと素晴らしい時代に生きていることよ。などと、ふと思う。 いかに日ごろ飛行機に乗り慣れていないかがうかがわれる、微笑ましいエピソードであると言えよう。 さて、飛行機の窓から…

屋久島で考えた(6)

以前、屋久島に行ったことがある。 ここには、「もののけの森」と呼ばれる、白谷雲水峡という場所がある。 映画「もののけ姫」に出てくる森のモデルとなった場所で、水が豊富なため、全てが緑の苔に覆われていて、とても神秘的で美しい所だ。 さて、そんな所…

屋久島で考えた(5)

以前、屋久島に行ったことがある。 岩崎ホテルという所に泊まったのだが、ここは部屋から山と海の両方が見える素晴らしいロケーションで(泊まるなら、両方見える「山側」がお勧めである。)、料理もおいしく、良いホテルであった。 また、吹き抜けになって…

屋久島で考えた(4)

以前、屋久島に行ったことがある。 島全体がエネルギーに包まれているようだった。 海と山が近くにあり、海はエメラルドグリーン、山も様々な種類の緑色におおわれていた。 水が豊富で、山道の至る所から湧き出していた。 街には信号機と自動販売機が異常に…

屋久島で考えた(3)

以前、屋久島に行った。 ここには日本で唯一の照葉樹の原生林があり、そのため世界遺産に指定されている。 さて、そんな森を歩いていて考えた。 森は循環している。 この島は花崗岩でできていて、土壌がとてもやせているから、まずは岩の上に苔が生え、水分…

屋久島で考えた(2)

以前、屋久島に行ったことがある。 有名な縄文杉を見るためには、往復で10時間近く歩く必要がある。 まあ誰でも歩いているし、ツアーガイドの人などは毎日往復しているのだろうから、たいしたことはないのだが、それでもちょっとした覚悟と気合は必要にな…

屋久島で考えた(1)

少し前、屋久島に行った。 「もののけ姫」の背景を描くために宮崎駿一行がロケに行ったのは有名だ。 背景画を超える、素晴らしい所だった。あたりまえだ。 少し移住を考えた。 そこで感じたこと。 まず、森の色が違う。緑は一色ではなく、そこにはいろいろな…

「CHUCK」SUM41

久しぶりに、熱い衝動が俺を貫いた。 というか、完全な、衝動買いだった。 SUM41の「CHUCK」を聴く。 まったく知らなかったが(なんて読むんだ?)、店頭で試聴してすぐに買う。 これもまたポップで良い。 ジャンルはメロコア〜ロック? 若い衝動。破壊衝動…

「海辺のカフカ(上)」村上春樹

再読。 こんなに立て続けに小説を読んだのは、久しぶり。 これも、「アフターダーク」の読後感が中途半端だったおかげといえる。 さすがは村上春樹である。読書欲をありがとう。 ところで、この本、改めて読むと名作である。 最高傑作ではないか? 軽さと深…

「フランツ・フィルディナンド」フランツ・フィルディナンド

スコットランド出身の4人組バンドのデビュー・アルバムで、トーレ・ヨハンソンがプロデュースを担当という。 80年代のロックを思い出す。 目新しさはない。 それは当然で、皆が同じような楽器とエフェクターを使って、何十年も同じようなことをやっていれば…

「スマイル」(ブライアン・ウィルソン)

数年前、たまたまビーチボーイズの「ペット・サウンズ」(1966年)を聴いて、衝撃を受けた。 なんという、ポップさと深さの共存。 ロックとサイケの融合(?)。 透明な美しさ。 ビートルズ好きなのだから、もっと早く聴くべきだったのかもしれない。 そう思…

「イノセンス」(押井守)

正直、退屈だし、分かりにくいところがある。 世界観は前作の「攻殻機動隊」で示されたものの延長線である。ただ、先には進んでいる。 絵のクオリティはやはりすごいが、CGが若干多すぎるか?とも思う。でも、あの光の質感はCGでなければ出せない、と思…

「ねじまき鳥クロニクル」村上春樹

「ねじまき鳥クロニクル」村上春樹を再読した。 恐ろしくディープで陰鬱な物語で、良くも悪くも影響を受ける。 いつもの「死と再生」というテーマが繰り返されているが、他の作品と比べてもかなり深い。そして不快…。 「僕」には仕事もなく、猫もいなくなり…

「アフターダーク」村上春樹

本当は、発売日に購入し、9月9日頃には読了していたと思うけれど…。 割と薄めの話。 「向こう側の世界」や「暴力」や「闇」が日常の紙一重のところで口を開けているという話ではあるものの、それほど深い所までは行かない。 都市で一夜に繰り広げられる物…

2003年に読んだ本

「人生は廻る輪のように」 E・キューブラー・ロス ☆☆ 「臨死体験研究読本」 石井 登 ☆ 「シッダールタ」 ヘルマン・ヘッセ ☆☆ 「組織の盛衰」 堺屋太一 ☆ 「サラリーマン・サバイバル」 大前研一 ☆☆ 「魂のロゴス」 菅原 浩 ☆☆☆

行中検査

【不条理な笑い?】 「おい山粼、明日、行虫検査らしいぞ。」 昼休みに健二が話しかけてきたと思ったら、行虫検査の話だった。 こっちは食事中だ。 「なんだよ。今そんな話するなよ。」 「悪い悪い。でもさ、行虫検査らしいぞ。明日。」 なんて奴だ。 「分か…

耳鳴り芳一

【不条理な笑い?】 「おい、芳一!」 「・・・・・。」 「芳一ってば。」 「・・・・・。」 「芳一?」 芳一は肩を叩かれてやっと健二に気づいた。 「おお、健二か。」 「どうしたんだよ。」 「いや、ごめん。今朝から耳鳴りがひどくてさ。よく声が聞こえな…

社長挨拶

【プチ狂気な笑い】 入社おめでとうございます。 ひとまずそう言っておきます。 しかし、実のところ、ちっともめでたくなどありません。 めでたいなどと思ったら大間違いです。 見当違いも甚だしい。 冗談も大概にして頂きたいところであります。 噴飯もので…

虹をつかむ男

【無意味】 男はついに虹をつかむ。 世界って虹からできてるよね。 軽く瞑想すると世界は流れ出すじゃん? そしたらそれって虹じゃん? きらきらと七色に光ってるじゃん? だから世界って虹だよね。 いきなりそう話し掛けられたが、俺も急いでいたので頭から…