ザ・テレビ欄

素晴らしい本を入手した。その名も「ザ・テレビ欄」という。どんな内容か全く想像がつかないと思うので説明すると、新聞のテレビ欄だけがひたすら載っているという。…ご想像の通りである。 過去のテレビ欄などは、図書館にでも行って新聞の縮刷版などを手に…

「1Q84」(村上春樹)

ここ数年、読む小説は村上春樹のものだけだ。そして、こうして久々に文章を書かせるのも村上春樹だけだ。 パターンとテーマは決まっている。 孤独な主人公。彼はいつも些細な何かによってこの世界につながっている。しかし彼が立つのはいつもこの世界の狭間…

「効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法―」(勝間和代)

新聞で「今、『勝間本』が売れている」という記事を見て、読んでみたのだったと思う。(3月頃読了) それほど画期的なことは書いていない(※)が、ITを駆使できる現状に即した知的生産の技術であるところが新しさか。ただ、内容はかなり濃い。また、具体…

「情報は1冊のノートにまとめなさい」(奥野宣之)

最近この手の本にはまっている。勉強法、仕事法、情報整理法的なもの。 仕事で一段落した時期にこのような本を読みたくなる。余裕のあるうちに何かしようという向上心と、実際に何かやるのは大変だという怠惰な心の交差する地点が「自己啓発的な本を読んでや…

「海馬」(池谷裕二、糸井重里)

(070803読了) <脳の活動> ・手や口を動かすと脳も動く。 ・やる気を出すには、まず実際にやってみること。すると「側坐核」(脳の「りんごの種」のような位置にある部位)が自己興奮し、アセチルコリンを送り出す。 ・30歳を過ぎるとつながりを発見する…

「脳を活かす勉強法」(茂木健一郎)

080426読了 <ポイント> 1.いかにして脳を喜ばせるか。 (1)「ドーパミン」による「強化学習」のサイクルを回す。 ・ドーパミンは快感を生み出す脳内物質。 ・不確実なことを達成したときに大量に放出される。 ・脳の本質は「自発性」。教育では誉めて伸ばす…

「約束された場所で」(村上春樹)とかオウムとか。

…と、先日のようなことを考えていたら、休日はとても眠い。いくらでも寝られる感じ。無意識の世界を漂う。体はだるく、肩こりが表面に出る。足がだるい。マッサージをし、葛根湯を飲み、長風呂をする。現実的なやる気が出ない。 過去のノートを見返し、「生…

「羊をめぐる冒険」(村上春樹)とか学生時代とか。

村上春樹の羊をめぐる冒険を読み返す。朝と電車の中で読み、村上春樹を読んだときの常としてちょっと意識が現実から向こう側にずれて。学生時代の感覚を思い出させる。エアポケット的な不安定な感覚。 人生は、というか今の生活は、それほど確定的でもないし…

 「ハイデガー=存在神秘の哲学」(古東哲明)

シンクロニシティが炸裂した。 最近ここで書いてきたことと、以前別のサイトに書いてきたことと、リンクし、共鳴しあっていた。 きっと、10年前に読んだら、ピンとこなかっただろう。 5年前に読んだら、目からウロコと涙をボロボロとこぼしながら感動し、…

「20世紀少年」(浦沢直樹)

現在、唯一買い続けているマンガである。 ミステリー的演出のうまさによって、ついつい買い続けてしまう。ほんとに天才的である。 話に粗さはある。というか、設定はハリウッド映画並みにむちゃくちゃである。 「敵の正体が不明」であることが前半を引っ張る…

「PLUTO」(手塚治虫/浦沢直樹)

浦沢直樹氏は天才だ。 手塚治虫氏は当然にもう神様で、マンガの演出方法を作り上げたような人なんだけど、浦沢氏もまた、マンガを新たな境地に持って行っている。氏の演出は素晴らしい。 また、マンガの神様の原作のリメイクを受けようと思うくらいだから、…

「イワン・イリッチの死」(トルストイ)

分かりやすく、感動的。 1884年の作品が「分かりやすい」ということがすでにすごいことだ。主人公の裁判官の生涯には、普通に共感(もしくは理解)できる。 彼の生涯は、普通に地位や名誉を求めるもので、向上心にも溢れている、悪くないものだ。という…

「海辺のカフカ(下)」(村上春樹)

再読する。 やはり、村上春樹の最高傑作であると思う。 世界を突き動かす大きなもの―「運命」のようなもの―と、その道具としての人。 完全に受け入れ、受動的になることで、「運命」は向こうから訪れる。そして、本当に意味のある「役割」は、そのようにして…

「ヘルタースケルター」(岡崎京子)

この作品を書いた後、岡崎氏は交通事故にあった。その後、リハビリを続けておられるようだが、もう作品は書かないのではないかと思う。これが「遺作」になるのではないかと思う。 これが書かれたのは1996年だった。 加速するイメージと欲望。快楽の追求…

「海辺のカフカ(上)」村上春樹

再読。 こんなに立て続けに小説を読んだのは、久しぶり。 これも、「アフターダーク」の読後感が中途半端だったおかげといえる。 さすがは村上春樹である。読書欲をありがとう。 ところで、この本、改めて読むと名作である。 最高傑作ではないか? 軽さと深…

「ねじまき鳥クロニクル」村上春樹

「ねじまき鳥クロニクル」村上春樹を再読した。 恐ろしくディープで陰鬱な物語で、良くも悪くも影響を受ける。 いつもの「死と再生」というテーマが繰り返されているが、他の作品と比べてもかなり深い。そして不快…。 「僕」には仕事もなく、猫もいなくなり…

「アフターダーク」村上春樹

本当は、発売日に購入し、9月9日頃には読了していたと思うけれど…。 割と薄めの話。 「向こう側の世界」や「暴力」や「闇」が日常の紙一重のところで口を開けているという話ではあるものの、それほど深い所までは行かない。 都市で一夜に繰り広げられる物…

2003年に読んだ本

「人生は廻る輪のように」 E・キューブラー・ロス ☆☆ 「臨死体験研究読本」 石井 登 ☆ 「シッダールタ」 ヘルマン・ヘッセ ☆☆ 「組織の盛衰」 堺屋太一 ☆ 「サラリーマン・サバイバル」 大前研一 ☆☆ 「魂のロゴス」 菅原 浩 ☆☆☆

2002年に読んだ本

「哲学者かく笑えり」 土屋賢ニ ☆ 「アミ 小さな宇宙人」エンリケ・バリオス ☆☆☆ 「もどってきたアミ」エンリケ・バリオス ☆☆☆ 「アミ 3度めの約束」エンリケ・バリオス ☆☆☆ 「欲望と資本主義」 佐伯啓思 ☆ 「哲学」 稲盛和夫 ☆ 「アムリタ」 吉本ばなな ☆ …

「サイファ覚醒せよ」宮台真司・速水由紀子

共同体の結びつきは緩くなっている。 人は複数の場所に多元的に所属することができ、辛い場所からは逃げられるようになる。筆者たちは、様々な価値観の間を、ネットも利用しながら逃げ回ればいいと言う。 共同体に根拠はない。 しかしそのことが分かってしま…

「キッチン」吉本ばなな

この世界には、鋭すぎる感受性を持った人達がいる。 彼らは人並み以上に様々なことを感じ、傷つきやすい。体温が低く、死の世界に親しい。死を引き寄せ、夢の世界を共有し、時にはあちら側の世界も見てしまう。 この熱い現実世界では生きにくい人達だ。しか…

「ピンポン」 松本大洋

高い場所へ向かう意志と、それを阻む目に見えない「選別」。選ばれた者にしかたどり着けない場所がある。選ばれたものは、どれだけ孤独であっても、どれだけ厳しくても、その道を進むしかない。そこから逃げることはできない。 選ばれなかった者は、どうして…

読書

「哲学が分かる。」(アエラムック)を読む。 自分の関心が「哲学」にあったことが分かる。「欲望と資本主義」(佐伯 啓思)を読む。 1993年に書かれた本で、少し後に読むからこそ、とてもよく分かる。「音楽の悪魔」(喜多尾 道冬)を読む。 神と悪魔、意識…

2001年に読んだ本

「自薦エッセイ集 魂の光景」 日野啓三 ☆☆ 「創造する心」 日野啓三 ☆☆ 「コンセント」 田口ランディ ☆☆ 「アンテナ」 田口ランディ ☆☆ 「モザイク」 田口ランディ ☆☆ 「ひかりのあめふるしま屋久島」 田口ランディ ☆☆ 「プロフェッショナルの条件」 P・F…

「世界を肯定する哲学」(保坂和志)

共通点を感じる。すごい、とか、なるほど、というのは少なくて、同じようなことを考えている人がいる、という共通点を感じ、それが大学の先輩で、40代半ばの芥川賞作家であるという、まっとうな人であることに対して安心を感じる。 「哲学」と銘打たれている…

2000年に読んだ本

「影の現象学」 河合隼雄 「神の子供たちはみな踊る」 村上春樹 「タイタンの妖女」 カート・ヴォネガット・Jr ☆☆

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(フィリップ・K・ディック)

映画「ブレードランナー」の原作。 「死の灰が降り注ぐ核戦争後の地球。(といっても舞台は1990年代だ!)人々は召使アンドロイドを連れて他の惑星に移住していた。残っているのは精神異常者を含めたわずかな人々だけ。そして、他の惑星から脱走してきたアン…

「偶然の音楽」(ポール・オースター)

破滅に向かう人々に惹かれてしまう。「眩暈の感覚」(ミラン・クンデラ)というか。 過剰を抱えた人間、弱い人間には美の感覚がある。それはボーダーラインぎりぎりの所で生きているために、強烈な「生」そのものを体験するからだろう。主人公は職を捨て、車…

「GOGOモンスター」(松本大洋)

客観的には、「学校に適応できずに『あっち側の世界』が見えちゃってる少年が、ついにあっち側の闇の世界に陥ってしまう。しかし現実の世界の唯一の友達の存在のおかげで戻ってこれる。」という話。 …こう言っちゃうと身も蓋もないな。2,500円もする分厚い本…

「タイタンの妖女」 (カート・ヴォネガット)

宇宙と時を駆け巡る壮大なストーリーの中に、悪夢的な感覚が散りばめられている。 「運命は予め全て何かによって定められている」という感覚がある。 それをつきつめて、人類の進化の全てが、高度に文明の発達した宇宙人の、ごくつまらない目的のためだけに…