「NO1 モータウン」

とてもポップで明るい。
ダイアナ・ロスシュープリームスとジャクソン5が、特に際立っている。
ダイアナ・ロスのハスキーかつキュートな歌声は、もう反則だ。
マイケル少年の伸びやかな歌声もまた、輝いている。才能が溢れだしている。
どうしても考えてしまう。
マイケルは、いつからあんなことになってしまったのだろう・・・。


子供の頃から大スターでありつづけ、輝きつづけるためには、きっと巨大な闇を背負う必要があったのだろう。
いや、「闇」って、幼児虐待については裁判中だし、疑惑に過ぎないのだが。少なくとも、あの顔で「整形なんてしてないよ」と言い張る精神は、明らかに巨大な闇を抱えていると言えよう。また、ドキュメント番組で見たマイケル・ジャクソンの恐ろしい衝動買いも、心の闇だ。ブラックホールだ。


さて、私はずっとマイケル・ジャクソンにはさして興味がなく、初来日の時は中学生くらいだったのだが、「BAD」の良さが分からなかった。とんねるずのパロディを見て喜んでいたくらいだ。
その後も、「また顔が?」、「今度は色が?」、「前のでやめときゃ良かったのに・・・」などと思いつつ見る程度だったのだが、少し前に「NUMBER ONE'S」を聴いて変わった。
アルバム「スリラー」の中の曲たち、「ビリージーン」や「ビートイット」や「スリラー」は、素晴らしかった。売れた理由が今さら分かった。周回遅れも甚だしいくらい遅れてきたファンになった。思わずDVDも買ってしまった。更に売れた理由が分かった。
若き日のマイケルは、本当に輝いていた。セクシーで、切なくて、喜びと哀しみの両方を表現できるスターだった。
しかし。
DVDも後半になると、様子が変わってきた。
崩れている。明らかに、崩れている。
生気がない。輝きもない。
どうして、こうなってしまうのだろう。
全てのものは滅び行くのだろうか?
全ての純粋なものは、損なわれてしまうのだろうか?
最高の瞬間が来たら、その次は落ちていくしかないのだろうか?


しかし、その没落していく様子までが、「マイケル・ジャクソン」という1つの表現なのだ。
スターというのは、表現と人生が不可分なのだ。そして、背負う代償が大きいからこそ、人々に多くのものを与えることができるのだろう。
・・・って、「とてもポップで明るい」ものの感想が、どうしてこんなにダークなものに・・・?

「NO1 モータウン
(☆☆☆☆)
No.1 モータウン

「NUMBER ONE'S」(マイケル・ジャクソン
(☆☆☆☆)
NUMBER ONES