「ピンポン」

昨日書いた「スパイダーマン2」の感想つながりで。
「I can fly!」と窪塚は実際に飛んだけれど、飛ぶ前に観ていた。
もう、とにかく泣けた。爽快感と、カタルシスで。映画として、素晴らしい。ベストに近い。
原作も、というか原作こそ最高だと思っていたのだが、原作に忠実で、変に変えていないところが良いところだ。


「ヒーロー見惨!」と、窪塚(ペコ)は遅れて現れた。
ヒーローは待たれているから、いつか、舞台に立たなくてはいけない。
そのために、努力をしなくてはいけない。ツケは払わなくてはいけない。
才能は、予め決められている。大きなものによって、予め定められている。だから、責任は果たさなくてはいけない。逃げることはできない。


高いところに立たないと見えない景色がある。そこは冷たくて厳しく、空気は薄く、孤独な場所であるかもしれない。けれど、選ばれたものだけが行ける特別な場所だ。神に一番近い場所だ。だから人は上を目指す。
しかし、そこに立てるものは予め決まっている。どれだけ努力をしても、どうしてもそこには行けない人もたくさんいる。たいていの人がそうだ。
だけど、凡人にしか見えない景色もある。全体を見通すためには、降りなくてはいけない。そして、そこには普通の生活がある。普通の幸せがある。
それぞれに、ふさわしい場所がある。という救いがある所がいい。


そして、それでも、高いところ、優れたものに対する憧れと共感がある。
選ばれた者しか立てない場所に、選ばれた者達が立った時、回りの景色は消える。そこは特別な場所になる。勝負の中の一瞬かもしれないけれど、そこには絶対的な共感が生まれ、他人には見えない景色が見える。


音楽も配役もはまっていて、素晴らしい映画でした。

(☆☆☆☆☆)

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