しりとりエッセイ9:「軍隊」

日本には軍隊がない。
そんなことは誰でも知っている。
なぜなら、日本国憲法第9条でそのように定められているからである。
ないと決められているのに、あるはずがない。


もはや今時「自衛隊は軍隊ではないのか?」などと疑問を持つ人もいないであろうが、当然違う。
なぜなら、名前が違うからである。
当たり前のことである。
それを理解できない人がいたとしたら、それこそが理解できないのだ。
自衛隊とは、自ら衛る部隊なのである。全然軍隊ではないではないか。
名前が違うものが同じものであるなどと、どうしたら言えるのだろうか。

「本郷猛」と「仮面ライダー」は、全く異なるものである。
クラーク・ケント」と「スーパーマン」も、全くの別人である。
たとえが若干古い感も否めないが、そういうことなのである。


だが、もしかしたら、「名は体を表すとは限らない。実態としてどうなのか?」などと言い出す人がいないとも言い切れない。
だが、そんな質問も全く問題にならない。
筋肉少女帯って、なんとなく筋肉ムキムキの女の子がいっぱいいるグループかと思ったら、違うんだよね。あれ?しかも“隊”じゃなくて地帯の“帯”になってるよ!」
などと言い出す人と同じことである。
つまり、センスがないのだ。
センスがない人は、最初からいないものとみなすので、これもまた全く問題にはならないのである。


しかしながら、唯一の例外がある。
それが、ジャイアンツである。読売巨人軍こそが、唯一日本に存在する軍隊なのである。
「軍」だと自他共に認めているのだから、これはもう軍隊なのである。
つまり、巨人は別格だということである。
他の、虎だとかツバメだとか、これはもう皆ただの動物じゃないか、ということなのである。
パリーグに至っては、波とか海とか、もう抽象的なのである。
わけが分からないのである。
唯一、巨人だけが人なのである*1
しかも日本国で唯一公認された軍隊なのである。
そんな訳なので、巨人は下位に甘んじていてはいけないのである。
頑張れ原ジャイアンツ、とこういったわけなのである。
我が巨人軍は永久に不滅なわけなのである。

*1:よく考えると「ファイターズ」というチームもあったが、文章の流れが弱くなるので、たいしたチームではないとみなし、なかったことにする。