「PLUTO」(手塚治虫/浦沢直樹)

浦沢直樹氏は天才だ。
手塚治虫氏は当然にもう神様で、マンガの演出方法を作り上げたような人なんだけど、浦沢氏もまた、マンガを新たな境地に持って行っている。氏の演出は素晴らしい。
また、マンガの神様の原作のリメイクを受けようと思うくらいだから、自信もあるのだろう。普通そんな仕事は受けない。相手は神様なのだ。たとえて言うなら・・・ビートルズをコピーするようなものだ。って、そんなのいくらでもいるな・・・。まあとにかく大変な自信だということだ。


おそらく原作と意図的に変えているのは、ロボットの一部が、人間と区別がつかないように描かれている点だ。
これによって、「攻殻機動隊」や「ブレードランナー」やその原作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」などのように、「人間とロボットの区別が曖昧になっていく不安」が、原作以上に強まっている。のだと思う。原作読んでないけれど。
登場するロボットは、人間と全く同じように見え、感情を持ち、記憶を持ち、夢を見るのだ。人間との区別はない。
我々は、読んでいても登場人物の誰がロボットで、誰が人間なのか、分からなくなる。そして、人間とは何か?意識とは何か?という疑問がぼんやりと残る。
これによって、なんとも言えない不安感が漂い、ミステリーとして新しい作品に作り変えられている。
そして、また買い続けてしまうことになるのだ。落ち着かないから早く終わってほしいものである。

(☆☆☆☆)
PLUTO (1) (ビッグコミックス)