「弾丸ランナー」(監督:サブ/田口トモロヲ・ダイヤモンド☆ユカイ・堤真一)

何をやってもダメな人を演じさせるとうまい田口トモロヲ氏。名前は有名だし何度も見ているはずなのに未だに顔が覚えられない。この印象の薄さもダメなところか。それが走る。銀行強盗をする前に入ったコンビニで、なりゆきで発砲してしまった店員から逃げるために走る。
追いかけるシャブ中の店員を演じるのはダイヤモンド☆ユカイ。この人は普段から目に狂気をたたえている。独特の存在感がある。それが走る。追いかけて走る。
それを追いかけるヤクザ役は堤真一。さわやかな役だけでなく、狂気を孕んだ役もとぼけた役もできる人だ。今回は組長を目の前で殺されてしまう情けないヤクザ役。
3人が走る。走る。ただ走る。
それぞれに複雑な事情と思いを抱え、それぞれに妄想しながら、ひたすら走る。
それにしても走りすぎだ。
夜になってもまだ走ってるよ。
だんだんみんなランナーズハイになって、並んで走っている。
そしてなぜか組の抗争に警察もからんだ修羅場に飛びこむ3人。物語は一気にクライマックスへ(?)。
走り続けた3人だけがとても爽やかだ。
どろどろしたものややりきれない思いやズレや妄想や過剰を全て吐き出して、とても爽やかだ。
ヤクザや警察官達がみんな歪んでいて気が立っているのは、変なエネルギーが溜まっているからで、走ってないからなのだ。
結局走ればいいのだ。
生きることは走ることなのだ。
走ることはカルマを返すことなのだ。
スポーツジムの宣伝のような映画だ。
とりあえず明日から走ろう。(嘘)