人称

日本語には自分や相手のことを指し示す言葉がたくさんあります。
一人称では、「私、僕、俺、あたし、こっち、当方、拙者、我輩、手前、テメエ、我、自分…」
二人称では、「あなた、君、あんた、そっち、オタク、貴殿、お嬢ちゃん、ボク、お兄さん、お姉さん、貴様、テメエ、ワレ、自分…」

ただでさえたくさんあるのに、大阪人なんかは「相手の立場に立って相手を一人称で呼ぶ」(「自分」)ということまでするために、人称までが入り乱れて訳の分からないことになっています。
外国語のことはよく分かりませんが、少なくとも英語には「オレ」と「オマエ(達)」しかありません。

キリスト教の文化圏においては、絶対的な「神」に対しての自分としての「オレ」が最初に成り立っていて、その自分に対して周りに「オマエ」や「オマエタチ」が存在する、という思考回路になっているのでしょう。
これに対して、日本では絶対的な存在がなく、いわば共同体が「神」の代わりをするものだから、相手によって自分の立場が変わり、存在の仕方そのものまで変わるのです。そのために、相手によって呼称が変わりますし、その呼称も意味としては「相手からの方向を指し示すもの」であったり「謙譲の意を表明するもの」であったりと非常に曖昧です。

僕もこのサイト内で一人称をいくつか使い分けています。

・「僕」:読み手を意識した文章の、カレントの設定です。
・「ボク」:読み手を意識した文章で、軽くボケている感じや飄々とした感じを出すときに用います。
・「俺」:読み手をあまり意識しない文章、または逆に主観的で走り気味のキャラを演じるときに用います。口語の時のカレントです。
・「オレ」:ユーモアを漂わせようとした文章、または主観的で走り気味のキャラを演じるときに用います。
・「オレ様」:もっと主観的になって走ってるキャラを演じる時に用います。
・「私」:素で真面目な文章を書くときに用います。
・「ミー」:昔のマンガで外人が自分のことをこう呼んでいました。

…なんで「呼称が統一してないなあ。」と一言で言えないんでしょうか、ミーは。<お約束