朝焼けのワンウェイジェネレーション

【無意味】
僕らは…。

僕らはワンウェイジェネレーションだ。
一方通行世代だ。
逆戻りはしない。


歴史は繰り返す。
しかし俺たちは繰り返さない。
過ちは繰り返さない。


過ちは繰り返さないし、善行も繰り返さない。
一回限りだ。
何度もやるのは面倒なのだ。
繰り返すと癖になるのだ。
奴らはつけ上がるのだ。
関係ができるのは面倒だ。
持ちつ持たれつなんて真っ平御免だ。
コミュニケーションとかそういうのはないものとみなす。
一方通行だ。
ワンウェイジェネレーションだからだ。


これはもう世代的なものだ。
本田美奈子世代だ。
どんな世代だ?
1986年頃だ。
1986年のマリリンだ。
臍出しルックだ。
そんな世代だ。


そんな世代は嫌だ。
たまに嫌になる。
逃げ出してしまいたくなる。

しかし逃げ出せない。
一方通行だからだ。
その先は行き止まりだ。
袋小路だ。
目の前には壁がある。
ものすごい閉塞感だ。


こうなればもうヤケだ。
臍出しルックで踊るのだ。
マリリンと一緒に踊るのだ。

ただしそっくりさんだ。
よく場末の温泉宿なんかにいるあれだ。
それと一緒に踊るのだ。
三流不良外人だ。
アル中だ。
麻薬も常習している。


相当ブルーだ。
それでもいいから踊るのだ。
今日は朝まで東京ミッドナイトロンリネスだ。
ただし場所は熱海だ。
相手はマリリンのそっくりさんだ。
臍出しルックだ。

観客はいない。
貸切だ。
貸切料金は馬鹿みたいに高い。
ボーナスがパーだ。


それでも踊るのだ。
朝まで踊るのだ。
発展性のないダンスだ。
孤独なステップだ。
ダンス・ダンス・ダンスだ。
村上春樹だ。
そんな世代だ。


朝まで踊れば吹っ切れる。
閉塞感を越えられる。
根拠はない。
誰にも分からない。
どこにも届かない。
一方通行の思いだ。


それでも構わない。
それでも踊るのだ。
ステップを踏みつづけるのだ。
正確に、完璧に。
誰も見ていないステップを踏みつづけるのだ。
マリリンと踊るのだ。
朝まで踊りつづけるのだ。
それがワンウェイジェネレーションだ。
曲はランバダだ。